はまゆうの会

初盆(盆義理)について

 人が亡くなって初めて迎えるお盆を「初盆」「新盆」といいます。ご先祖様を迎えて供養するものですが、遠州地方は盆行事を重視する土地柄でお葬式に参列された方々の多くがお参りに訪れるほどです。お盆の夕方に初盆のお宅に伺うことを「盆義理」といい、浜松市を含む遠州地方で行われています。

盆義理という風習は全国的にも珍しく遠州地方独特の文化とも言えます。三方原合戦で戦死した武士の霊を弔うために徳川家康が三河の念仏僧を招き、犀ヶ崖(さいががけ)で盛大な踊りを交えた大念仏で供養したのが始まりと言われています。
笛や太鼓、鐘の音を響かせる「遠州大念仏」はその後、遠州各地で盛んに行われるようになりそれぞれの村の初盆の家をめぐる行事へと変化していきました。これを元に多くの人が初盆の家を訪れる風習が根付いたとされています。

 お盆の時期は地域により違います。大きく分けると浜松市中心部から磐田市にかけては7月13日~15日に新盆を、浜松市の北・西・南部が8月13日~15日に旧盆を迎えます。他地方でも山間部に旧盆(8月)が多いので、農作業の時期の兼ね合いから新盆(7月)と旧盆(8月)に分かれたという説が有力の様です。

盆義理は7月13日または8月13日の夕刻から始まります。服装は喪服で出かけ、持ち物はご仏前(お金)で不祝儀ののし袋の表書きは「盆供(ぼんく)」と書くのが一般的です。お盆の時期になるとホームセンター等でも販売されています。
当日はたくさんの人が訪れるため、初盆のご家族との長話は控えた方がいいでしょう。「初盆でお懐かしゅうございます」など、手短にご挨拶をして焼香にとどめるのが礼儀です。

 盆義理は故人を偲び多くの人がお参りに行くという義理人情を重んじた風習です。今後も末永く継承されていくでしょう。