忠犬ハチ公のお葬式
室内飼いが当たり前で「ペットも家族の一員」とされる今では、「ペット葬」は普通の事になってきました。
外で飼うのが当たり前の昔では非常に珍しいことでしたが、例外的に盛大だったのが忠犬ハチ公のお葬式です。
ハチは1923年(大正12)年に秋田県で生まれた秋田犬。東京帝国大学農学部の上野栄三郎教授に引き取られ、渋谷に近い松濤で暮らし始めました。毎日、教授の出勤を見送り、ときには渋谷駅まで送り迎えすることもあったそうです。
しかし、教授は1925年(大正14年)に急逝。ハチと暮らしたのはわずか1年だったそうです。
ハチのお葬式
教授が亡くなり10年が経過した1935年(昭和10年)3月8日未明に渋谷駅東口で息絶えているところを発見。遺体は駅の小荷物室に安置されました。上野博士の妻、植木屋の家族が続々と駆け付け、末期の水があたえられました。毛並みを整えられたりしたそうで、これは湯灌(ゆかん)や死化粧にあたるのかもしれません。渋谷駅舎を使って、人間と同様の葬儀が行われました。
ハチの死を新聞で知った多くの人々が参列。花環・供花・弔電・手紙、さらには香典も続々と寄せられました。
地元・渋谷の仏教会からは導師(法会・葬儀を主になって行う僧)・伴僧(導師に付き従う僧)、計16名も呼ばれました。こんなにも盛大なお葬式は、高僧の葬儀でも珍しいことのようです。
ちなみに一周忌はハチ公像の前で行われております。これだけ愛され続けているペットは、他にはいないのではないでしょうか。